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ワイヤレス化に必要な基礎知識を解説します。
メリットと同時に、デメリットもしっかり確認しておきましょう。
IoTという言葉がずいぶん普及して、我々の生活にも欠かせない技術になっていますね。身の回りのものに限ってみても、この数年の間にワイヤレスになって便利になったものがたくさんあると思います。コードがあることで場所が制限されてしまったり、絡まってほどくのに苦労したり・・・。まだまだ「これもワイヤレスなら良いのに」と思うものはありませんか?
それ、実際にワイヤレスにできるかもしれません。
ワイヤレスにすることのメリットについてはイメージが付くかもしれませんが、実はデメリットになり得る要素もあります。
本記事では、メリット・デメリットを比較解説しています。
ワイヤレス化を検討中、あるいは検討しようかどうか考え中の方の参考にしていただければ幸いです!
- ワイヤレス化のメリット
今までできなかった事ができるようになる
メンテナンスが楽になる - ワイヤレス化のデメリット
通信が成立するとは限りらない
電池寿命に注意
製品価格が高くなる - ワイヤレスにするなら
認証済みモジュールを使う
ランニングコストに注意
どんな無線機(種類)を選ぶのが最適か
1. ワイヤレス化のメリット
できなかった事ができるようになる
ワイヤレスにする事で、今までできなかった事ができるようになります。
例えば、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)の様に常に回転するものからのセンシングは、有線では線が絡まってしまうため不可能ですが、ワイヤレスなら可能になります。また、ドローンはワイヤレスだからこそ自由度が高く実用的ですし、ラジコンやマイクも自由な動きができるからこそより楽しめるものですよね。
メンテナンスが楽になる
どんなものでも性能を保って使い続けるにはメンテナンスが不可欠です。この点でも、ワイヤレスにすることのメリットがあります。
例えば、一時的に設置するようなシステムでは信号配線/電源線の引き回しが不要になるので設置が非常に楽になります。使用後の機器回収時に電池交換を行えば、次の現場でも直ぐに使えます。
また、恒久的に設置したいシステムでは、電源に太陽電池+充電池の組み合わせを使って信号線をワイヤレスにすることで、山の中の様に商用電源やインターネット回線などの配線工事が難しい場所でも、ほぼメンテナンスフリーで使い続ける事ができます。
2. ワイヤレス化のデメリット
通信が成立するとは限らない
一方で、ワイヤレスにすることのデメリットも存在します。
ワイヤレスでの伝送は、常に妨害電波との闘いになります。有線通信でも非常に強力な妨害電波(放送局並みの出力を持つ違法無線からの電波や雷など)があれば通信が阻害されることがありますが、ワイヤレス通信の場合は、それら妨害波に加えパソコンからのノイズ、電子レンジ*なども妨害源になりますし、同じ周波数を使っている無線機との混信も起こり得ます。
したがって、ワイヤレス通信には電波が届かない場合の対策が必要です。例えば、送りっぱなしではなく、ハンドシェークを行うことで通達確認を取り、不達の場合は再送を行うとか、少し時間を開けて複数回送信するなどの対策があります。また、1回や2回程度通信が成立しなくてもシステム上問題ない様なシステムで用いるなどの考慮が必要です。ちょっとデータを逃しただけで大きな被害を被ってしまうようなシステムには適していません。
妨害電波だけでなく、周囲の環境の変化によっても通信ができなくなる場合があります。例えば、無線機を設置した時には無かった建物が、気が付いたら送受信機の間に建ってしまい通信を遮ってしまった例もあります。設置時にはちょっとした変化で通信ができなくなるような事が無いよう余裕をもって設置しますが、通信区間に大きなビルが建ったり、工場ができて妨害電波が出るようになったりする事もあります。ビルの建築や工場からの妨害波は、法律に違反していない限り補償を求める事はできません。自身の管轄している敷地内であれば問題ありませんが、飛び地の間でワイヤレス通信を行う場合は注意が必要です。
*:電子レンジの電波はWiFiやBluetooth無線と同じ周波数のため、近くで使われると通信が成立しなくなることがあります。
電池寿命に注意
完全なワイヤレス化をすると、電源を装置に持たなくてはなりません。そのため、大抵の場合は乾電池を使うか、充電池を使うかになると思います。
電池で運用するとなると、電池切れに注意する必要があり、装置に電圧低下の検知器を設けたり電池切れの際に自動通知を行うなどの仕掛けが必要です。充電池を使う場合は充電回路も必要となります。
また、電池は化学変化を用いて電力を生み出していますので、低温時には電圧が下がり動かなくなることがありますし、高温時は自己放電が大きくなり電池寿命が短くなりますので、使用環境を良く考えないと動作不具合の原因になります。
製品価格が高くなる
有線であれば不要な無線回路、無線を制御する回路、充電回路などが付加されますので製品単価は上昇する傾向にあります。しかし、一方で有線ではできなかったことができるようになったり、設置/撤去が容易になる事で効率化・利便性が向上したりと、製品の価値を高めることができます。
3. ワイヤレスにするなら
認証済みモジュールを使う
市販されている認証済みモジュールを使いましょう。
新規に無線回路を作るには時間がかかりますし、簡単には十分な性能が出ません。どうしても試作を2回、3回と繰り返す必要が出てきて、その分費用もかかります。また、電波法の規定に沿っているかの公的な試験・認証を取る必要があります。これにも時間と費用がかかります。
特殊な形状が必要であるとか、その製品にとってどうしてもオリジナルの無線回路が必要で無い限り、市販の認証済みモジュールを使った方がコスト/開発期間の短縮になります。
ランニングコストに注意
スマホやタブレットと通信するなら大抵Bluetoothを使う事になりますが、Bluetoothを使う場合はBluetoothSIGと言う団体の会員になった上で機器の登録料を支払う必要があります。特に必要が無ければランニングコストのかからない方式を選択した方がお得です。LPWAを用いる場合でも、キャリアが用意したインフラを使うとなると契約が必要になり、月々の支払いも必要になってきます。広域でのサービスが不要であれば別の選択肢も視野に入れてみましょう。
また、乾電池式の装置の場合は電池寿命にも注意が必要です。単に電池代だけの問題では無く、交換に行くための交通費や作業者の出張費用なども掛かってきます。近年では太陽電池の効率なども良くなってきています。先にも述べましたが、ある程度の消費電力が見込まれるものは太陽電池+充電池の組み合わせも選択肢の一つです。
どんな無線機(種類)を選ぶのが最適か
基本的に、近距離より遠距離、少量より大量のデータを送る場合にはコストや消費電力等々が大きくなります。また、周波数等で飛び方が違ってきます。更に詳しく知りたい方は以下のページをご参考にしてみてください。
ワイヤレス化のご相談は無線モジュール.comへ!
無線モジュール.comでは、様々な無線モジュールを用いた開発を行っております。ワイヤレス化についての疑問、ご検討中の製品等がございましたら是非お問い合わせください。