BM20の実験用回路図です。

BM20実験回路図
BM20実験回路図(画像をクリックすると拡大します)
実験基板上面写真
実験基板上面写真

実験基板の外観です。BM20は縦方向が1.2mmピッチの端子で、横方向は1.27mmピッチの変則的な寸法ですので、1.27mmピッチのユニバーサル基板にも載せられませんでした。
なので、ユニバーサル基板にBM20を載せられるよう、変換基板を作りました。下のスイッチ等が載っている基板はユニバーサル基板で作っても良かったのですが、こちらもヘッドホンジャック(回路記号CN2)が異形(2.54mmピッチに載らない)なので、ユニバーサル基板で組むと穴を開けたりしないといけないので、ついでに下の基板も自作しました。BM20はメーカーから評価基板が発売されていたのですが、最近発売中止になってしまったようなので、基板を自作出来ない方には少しハードルが高くなってしまいました。

注意!BM20には、日本での電波認証(技術基準適合証明)が取れているタイプ(シールドケース付き)と、取れていない物があります。今回用いたのは電波認証が取れていない物なので、アンテナは切り離して電波が出ないように改造して有ります。(漏れ電波が若干有るので近距離での実験には問題有りません。)実験したかった時にたまたま認証の取れている物の在庫が無かったため、認証の取れていない物を購入し、電波が出ないように改造しています。
回路とアンテナを接続しているコイルを取り外し、(念のため)回路の出力をコンデンサでDCカットした上で51Ωの抵抗を用いて終端しています。
改造は面倒なので、電波認証が取れているタイプの物を購入されることをお勧めします。(認証が取れている物は大抵在庫が薄いですが。。。)
改造前後のアンテナ部の顕微鏡写真を以下に示します。(LED照明の影響で青みががった写真になっています。)

無改造品
無改造品
アンテナ部改造品
電波が出ないよう改造したもの

今回は音声だけの実験ですが、BM20の設定を変更するにはシリアル通信で設定を送り込む必要があります。USB-シリアル変換ケーブルは、いつも使っている3.3Vのインターフェース電圧ですが、BM20のIO電圧は、モジュールの19番ピンから出てくる電圧で、2.86Vが出ていました。この電圧はモジュールの設定で変える事は可能なようですが、変える為には一旦通信をしないといけないので、その前に壊してしまっては本末転倒ですので電圧変換用のゲートを入れています。
USB-シリアル変換ケーブル側から無線モジュールに対しては、3.3V → 2.86Vの変換が必要で、無線モジュール側からUSB-シリアル変換ケーブルに対しては2.86V → 3.3Vへの変換が必要となります。
ここで、USB-シリアル変換ケーブル側から無線モジュールに対しての変換を行うICに必要な性能は、
・電源電圧が2.86Vで動作すること
・電源電圧が2.86Vにも関わらず、入力に3.3V(+α)が入ってきても壊れない事(入力トレラント機能)
です。また、逆側に関しては
・電源電圧が3.3Vで動作すること
・入力電圧が2.86V(-α)でもロジックレベルとしてHighと認識出来る事。
と、なります。たまたま近くに有ったICでこの条件を満たしたのがテキサスインスツルメンツ社の「SN74AUP1G34DCKR」でした。

SN74AUP1G34DCKR外観
SN74AUP1G34DCKR外観

「SN74AUP1G34DCKR」の外観写真です。脇のチップ部品は2125サイズ(2.0mm×1.25mm)のコンデンサです。このICはピンのピッチが0.65mmですので、比較的付けやすい方かと思います。最近では0.5mmピッチ以下とか、QFNの様なピンが外側に出ていない物が多くなって来ましたので試作とか検討時の部品実装/変更には苦労します。。。

このICの電源電圧範囲は0.8V~3.6Vで、
入力電圧範囲は電源電圧に関わらず4.6V迄となっています。
また、ロジックHighの検知範囲(VIH)は、電源電圧が3.0V~3.6Vの範囲で2.0V以上がHighと認識しますので、先に挙げた条件に合致しています。

マイク入力部回路図
マイク入力部回路図

CN3はマイクの接続部です。負荷抵抗が2.2kΩのエレクトレットコンデンサーマイクロホン用です。マイク用のバイアス電圧はBM20の中で作ってくれますが、若干雑音が載っている様ですので、マイクに供給するまでの間にフィルタが必要です。(C3,C4,R5)
MIC_BIASの電圧は実測で2.46Vでした。マイクを接続する事により音楽を聴くだけでなく、ハンズフリーで電話をすることも出来ます。

今回は、音を出す事だけを考えて回路を組みましたのでスイッチは(システムのリセットスイッチを除いて)電源スイッチとボリュームのアップ/ダウンスイッチのみとしています。スマホのプレーヤーのプレイ/ストップ/早送り/巻き戻しなどの操作を行いたいのであれば、P0_2、P0_1、P0_3にもプッシュスイッチを付ければ制御が出来るようになります。必要に応じて取り付けてください。各スイッチがどの様な働きをするのかは本文の中に説明が出てきます。